崩れにくいネクタイのディンプルを棒を使って作る方法
ネクタイを締めるからには綺麗な外観にしたいものでございます。上記のマリネッラのネクタイはオーダー時に、大剣の幅やノットの結び方を指定しているので容易にディンプルを作ることが可能です。しかし指定以外のノットの結び方にすると、結び目が団子になったり短すぎる結果となります。
ディンプルの作りやすさは素材と幅と厚さに依存するので、作りやすいネクタイとそうでないネクタイがあります。ディンプルを最も作りやすいネクタイは、固めの生地を使用した薄くて幅が広めのタイプと思われます。またネクタイの細い部分より太い部分のほうが物理的にディンプルを作りやすい傾向があります。
結び方に関してはプレーン ノットやセミウィンザーノットが現代的です。ちなみにイタリアをはじめとした海外ブランドのネクタイは長過ぎたり薄過ぎたりするので、プレーンノットのみでは対応が難しいと思います。そういった場合に備えてセミウィンザーノットを覚えておかれると便利でございます。
ディンプルは、ディンプル(溝)がノット(結び目)を貫通していれば綺麗に崩れること無く完成しますが、大剣を引いてノットを上に移動させる動作によってディンプルが崩れやすくなります。そこでディンプルに棒状の物を入れて固定し、形状を維持しながら大剣を引く方法を以下のように考えてみました(右利き用)。
今回は表面が滑らかでネクタイの生地を傷つけにくい箸を使用していますが、ネクタイが汚れない未使用の鉛筆などでも代用可能です。※箸を使うときは先端を必ず下に向け、抜いたあとは目などを突かないように箸を手から離してネクタイを締めてください。
・セミウィンザーノット(写真は見やすいように左右反転しています)
1)左手の人差し指と親指でノットの始点がずれないように固定します。この始点でネクタイを締めたあとの前後の長さバランスと、ノットの大きさが決定します。前後の長さが同じになるのが理想的ですが、大剣の先端がベルトに接触するギリギリの長さであれば小剣が短くても問題ありません。
2)後ろから前に通した大剣でノットの向かって右半分を成形します。このとき大剣を真下に引くと生地が重なりすぎてノットが団子状になるので、斜め45度の方向にずらして生地の重なりを少なくします。
3)成形した右半分のノットが崩れないように左手の中指で押さえながら、大剣を後ろに通して一周させます。
4)左手を維持したまま、その指の上から大剣を巻き付けて後ろから前に通します。可能であれば、右手で前に通した大剣を左手の指で掴み替えてノットの内側に引き込んで通します。
5)裏から通した大剣のループに右手人差し指を入れます。人差し指を入れる理由は逆三角形を作りやすくするためです。人差し指を入れることにより、大剣を下に強く引いてもノットの上部が崩れにくくなります。そして可能な限り指にかけた大剣の幅を広く保ちます。
人差し指を入れたまま、左手の親指と中指で両側を抑えながら人差し指で深い溝を作ります。続いて右手人差し指を抜かずに、左手の3本の指で大剣を下に引きながらノットを逆三角形に成形します。もし成形に失敗しても、人差し指を入れたままであれば大剣を戻してやり直すことが可能です。
6)ノットを7割程度成形したら溝に棒を差し込みます(私は大剣を左手から右手に持ち替えています)。棒を左右からしっかりと押さえ、棒ごとゆっくりと大剣を下に引きます。棒がノットの下から抜けそうになったら棒を上にずらします(写真では箸が見えていますが、両側から箸が見えなくなるまで押し込むと溝が深くなります)。
ネクタイ断面をM字に成形することを意識しながら、棒と一緒にノットの下に近い部分でディンプルを成形し、ノットが崩れなくなるまで締め上げたら棒を抜きます。そしてノットの下部を持ってディンプルを崩さないように注意しながらノットを上に移動させます(左手は後ろの小剣を強く下に引いています)。
7)最後に両人差し指でノットの下部を両側から挟み、同時に両中指と両親指で大剣を掴んで下に引きながらノットを首に押し付けて完成です。
・プレーンノット(同じく左右反転しています)
1)セミウィンザーノットより巻く回数が少ないので、始点を上にずらなどして調整します。完成後のネクタイの前後の長さが同一にもかかわらず、全体が長すぎる場合はダブルノット結びにして全体を短くします。
2)セミウィンザーノットと手順は同じです。
3)ここから大剣をさらにもう一周させるとダブルノット結びに移行できます。
4)セミウィンザーノットと手順は同じです。
5)セミウィンザーノットと手順は同じです。
6)ノットの体積がウィンザーノットより少ないので、ディンプルを深く作ることができます。
7)セミウィンザーノットと手順は同じです。
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